ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
「上手に淹れられていると思います。強いて言うならば、大きい茶葉を使った場合は、細かい茶葉を使った時より、蒸らし時間を少しだけ長く置いた方が良いですね。ルイーズさんは、他に気になる点はありますか?」

「いつも、我が家の侍女が淹れてくれた紅茶は、とても美味しいのです。教えていただいた通りに、茶葉も湯量も量ってから入れているのですが……」

「その侍女の方は、ルイーズさんの事をよく見ていらっしゃるのですね。主人の体調や好みが分からないと、出来ることではありません。さじ加減がとてもお上手な方なのでしょう。
今すぐに、その方と同じ水準に達するのは難しいです。今は基本をしっかりと身につけて、慣れることが大切ですよ」

「はい、ありがとうございました」

 * * *

 その日の夜、ルイーズはローラに紅茶の淹れ方について尋ねていた。

「紅茶って奥が深いのね」

「そうですね。でもマノン先生のおっしゃる通り、今は基本が第一ですよ。貴族家によっては、ティーポットや茶葉の種類も違いますからね。今はしっかり練習して、基本をマスターして紅茶を淹れることに慣れてくれば、仕える方の好みに合ったものをお出しできるようになると思います」

「確かにそうよね。今は練習あるのみね」
「お嬢様なら大丈夫ですよ。紅茶の淹れ方に限らず、何事も丁寧に対応されていますから。」
「いつもありがとう、ローラ。私はローラの淹れてくれた紅茶が一番好きよ」
「ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。今度はお嬢様の淹れた紅茶を飲ませてくださいね」
「もちろん、約束するわ」

 淑女科上級生との合同授業まであと数日。ルイーズの復習は、毎日続くのだろう。
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