ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

感謝の気持ち

 女学院が休みの今日は、午前中から調理場で料理をしているルイーズ。屋敷の皆に紅茶を振る舞うため、昨夜は皆の好みに合わせたメニューを考えていたようだ。まだ、全員の料理を用意するのは難しいため、午後の休憩に合わせて紅茶とお菓子、それから軽食を用意するようだ。朝食の片づけ後から、昼食の準備が始まる前までに、オーブンを使うことを考えて、早い時間から準備を始めるらしい。

 先ずは、スコーンとキッシュの材料を全て揃えてから、オーブンを予熱する。スコーンの生地を作り、休めている間にキッシュの生地を作り型に敷く。キッシュの具材は野菜とベーコン、チーズのようだ。それらを炒め終わったら、スコーンの生地を成形してオーブンで焼く。その間にキッシュのアパレイユ(卵液)を作り、キッシュの型にアパレイユと具材を入れてオーブンで焼く。ここまでくれば、最終地点まであと少しだ。

 焼いている間に、クロテッドクリームとブルーベリージャムを作る。フルーツジャムが苦手な人もいるため、ハチミツも用意する。スコーンだけでも良かったのではないかと思うが、キッシュは皆が好きな料理のようだ。

 昼食後、スコーンとキッシュ、それから紅茶のセットをティートロリーに乗せて目的の場所に向かう。ローラには、最初は父親の執務室に向かうと伝えたが、先ずはローラの所と決めていたルイーズ。ローラには、あらかじめ時間と場所を聞いていたようだ。ローラはミシェルのお世話もしているため、他の使用人とは休憩時間が異なるようだ。

「ローラ、ルイーズです。入っても良いかしら」
「お嬢様?どうぞ、入ってください」
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