ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

私にできること

 あれからすぐに、ルーベルトはルイーズのお願いに対して了承の返事をくれた。

 父親との話が終わり、部屋に戻ったルイーズは、ベッドに腰掛けて先ほど起きたことを一人静かに考えていた。

 婚約が解消から白紙になったこと。父親が自分の希望を聞き入れてくれたこと。今日は濃厚な一日だったと振り返りながら、オスカーの様子を思い出すルイーズ。

 オスカーが急変した様子は明らかにおかしかった。明確な原因があるのか、いくつかの要因が重なったものなのか、現時点では全く分からない。この段階で、自分がどうこうできるものではない。何か分かったとしても、婚約を白紙にするルイーズが首を突っ込んで良い話ではない。

 結局、父親が男爵に話していた通り、しばらく様子をみることしかできないと、ルイーズは思考を手放したようだ。

 * * *

 腰掛けていたベッドから立ち上がり、机に向かって歩き出す。椅子を引いてそこに座ると、使い慣れた机の引き出しを開けて日記を取り出した。幼少の頃より続けている一言日記だ。
 今日は一言では終わりそうにないと思いながら、昨日の続きのページを開いて物事が起こった順に書き記していく。その横には結果や感想を一言添えて。


エリーと行った庭園でオスカーと女の子を見かけた(とても驚いた)
エリーが淑女科から侍女科に転科することを聞いた(……寂しい)
婚約解消される(結果的には婚約白紙になった)
お父様にしばらくの間は婚約を望んでいないこと、これからのことを考える時間が欲しいことを伝えた(どちらも了承してもらえた)


 今日は色々なことがあり過ぎたようだ。日記を閉じて引き出しへ片付けると、一緒にしまってあった予備のノートを取り出した。
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