ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
第5章 辺境の地へ

出発

女学院が長期休暇に入り、待ちに待ったクレメント家に向けて旅立つ出発当日の早朝。ブラン家には、ルイーズを迎えに来たリオンとレア以外に、思いもよらない人物二名が玄関の前で待っていた。

呆然とするルイーズは、我に返ると目の前まで進んできた二人に話し掛けた。

「お見送りに来てくれたの?」
「違うわ」
「私たちも一緒に行くことにしたのよ」

エリーとエマの言葉で、一緒に行くことを今知ったルイーズは、戸惑った様子だが嬉しそうだ。
「私は嬉しいけど……」

少し離れたところで、馬の手綱を引くレアに視線を向けると、微笑みながら頷いている。その横には、いつもの無表情とは違う優しい笑みを浮かべたリオンがルイーズを見ていた。

「あんな表情もできるのね……」
「エマちゃん、失礼よ」

ルイーズの側でその様子を伺っていたエマが、リオンの表情を見ながら呟くと、エリーがすぐさま注意をした。
ルイーズは、そんなやり取りにも気づかずに、リオンをじっと見つめていた。

そんな彼女たちの側に、レアが近づいてきた。

「リアムはどうした?」
「リアムはまだ寝ているかと……リアムが何か?」

何故レアがリアムを気にするのか、と不思議に思いながらも答えるルイーズ。

「この間、リアムが『僕も辺境に行きたいです』と、私たちに言ってきたんだ」
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