ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
此方に歩き近づいてきたリオンが、ルイーズに答えた。

「リアムが辺境に……」

リアムがそんなことを言うとは思わなかったのだろう。ルイーズは驚いているようだ。その時、リアムが玄関から飛び出してきた。急いできたのだろう。まだ、後頭部の髪が跳ね返っている。

「おはようございます! 皆さんすみません! 遅くなりました」

朝は中々起きられないはずなのに、頑張ったのであろうリアムの様子を感じたルイーズは、リアムの寝癖を整えている。

「おはよう、リアム。話は聞いたけど、辺境に行きたかったの?それで、行けることになったの?」
「おはようございます、姉上。リオンさんとレアさんには、辺境に行きたいと思っていることを伝えました。僕のことも連れていってもらえるように頼みました」

「そうだったの。でも、お父様は辺境行きを許してくれたの?」
「リオンさんに、父上と母上、それからミシェルを説得できたら連れて行ってくれると言われたので、頑張りました」
「そうなのね。それで説得は成功したの?」
「はい。父上も母上も許してくれました。ミシェルは……、辺境から帰ってきたら、毎日おままごとに付き合うことを約束しました」
「……そう、私も付き合うわ」

ルイーズは初め驚いた様子だったが、リオンが両親を説得してまで自分の希望を伝えるなど、初めてのことだったので感動したようだ。

「リアム、良かったな」
「はい。お世話になります。よろしくお願いします」

兄弟の会話を見守っていたリオンが、嬉しそうに笑うリアムの頭を撫でながらほほ笑んだ。
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