会えないままな軍神夫からの約束された溺愛

01 幸せになれる日

 会ったこともない亡き夫と、書類上だけの結婚して訃報を聞いたあの日から、ようやく一年が経ち、私が自由に……いいえ。

 私が幸せになれる日が、やって来ました……!

 私は将軍として、名誉の戦死を遂げたアーロン・キーブルク侯爵の未亡人、ブランシュ・キーブルク。もうすぐ、素敵な男性と恋に落ち、幸せな再婚を果たす。

 母が亡くなって何年も前から、ずっとずっと願い続けた幸せになれる日が、すぐそこまで迫って来ているわ。

 ……そう信じる。ぎゅっと握りしめた手の平に走った鈍い痛みは、もう気にしないことにした。

 未来への期待に我知れず笑みが浮かんでしまう顔で、一人で夜会の会場入りした私は、好奇の視線が自分へと集まるのを感じた。

 驚きを含んだ騷めきが会場中ぶわりと広がり、それでも私は背筋を伸ばして前を向き堂々と歩いた。

 今までのように、亡き夫の喪に服し顔を隠す必要はないはずだから。

「……ねえ。あちらの貴婦人。見て。あまり見ないお方よ、誰なのかしら」

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