会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
「アーロン。私……実は貴方に、聞きたいことがあって……」

 私が質問しようとして、アーロンが面白そうに眉を上げた……その時だった。

 会場に吊されたシャンデリアが落ち、周囲は一気に薄暗くなって、方々から高い悲鳴が聞こえた。

「ブランシュ! 壁へ!」

 私はアーロンの腕の中に抱かれ、会場の隅へと移動した。

 辺りは騒然としていて、不幸中の幸いというべきか、落ちてきた大きなシャンデリアの下敷きになった者は居ないようだった。

 壇上に居た王族の姿は、避難していて既にない。誰かが賊に襲われたということもなく、ただ単にシャンデリアが落ちただけのようだった。

「……キーブルグ閣下。いかがなさいますか」

 アーロンの部下らしき男性が近くまで来て跪き、壁際に避難したアーロンに指示を仰いでいた。

「城での警備は近衛騎士団の範疇だ。後で揉めたくはない。何かあれば、彼らの指示に従え。狙いがわからぬ状態で、今すぐに動くのは危険だ。俺は事態が落ち着くまでここに居るから、王族や怪我人、不審者の情報が入り次第伝えろ」

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