会えないままな軍神夫からの約束された溺愛

22 嘘

「あの、アーロンが私と結婚した理由ですけど……詳しく、話を知りたくて」

 ヒルデガードから聞かされたあの話こそが、すべての原因だった。

「……ああ。あれを誰に聞いたのかは知らないが、確かにブランシュが思っている通りだ。だが、それには理由があるんだ」

 そこで、アーロンは私の顔をうかがい、言いにくそうに言葉を止めた。

 ……そうよ。縁談があると聞いた私だって、何か理由があるだろうと思っていた。

 彼がこの前の戦争から帰るまで私はアーロンと会った事もなかったはずだし、そんな状態で彼から結婚を申し込まれるなんて、何か政治的な意味がないと絶対におかしいのだと……。

 そう頭では理解を出来ていたのに、私はどうしてもここで我慢出来なくなってしまった。

「どうして、私を助けたの……あのまま、放って置いてくれたら良かったのに」

 海の中で足をつってそのまま放っておいてくれれば、新しい妻を迎えることが出来ただろうに。

 私ではなくて……アーロンの望むような、美しい妻を。

「ブランシュ。何を……」

「どうせ……どうせ、私なんて……家を継ぐために結婚した妻で、本当は嫌だけど、結婚したんでしょう?」

 そう言い切って涙目になった私を見て、アーロンはとても驚いていたし、慌てて首を横に振っていた。

「いや、そんな訳がないだろう! 君との結婚を嫌だなんて、これまでに思ったことは無い。ブランシュ。何を言っているんだ」

「どうして……だって、私」

「待ってくれ。何もかも、全部誤解だ。俺はお前と結婚するために、幼い頃から努力し将軍になり、キーブルグ家を継いだというのに!」

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