会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
 私の言葉を急に遮ったアーロンの必死の声を聞いた時、思考停止してしまった。

「……え? アーロン。それは」

 予想もしてなかった展開に絶句してしまった私の顔を覗き込み、アーロンは息をついた。

「どうせ、それを君に伝えたのは、この前に部屋に居たヒルデガードだろう。わざわざ、ブランシュの誤解を招くような言い方をしたんだ。あいつはそういう事を罪悪感なく仕出かす悪い奴で、だから、父は勘当したんだ。矯正なども無駄だと諦めたんだ」

「その通りです……ヒルデガードから、聞きました」

「本来ならば、牢にでも一生入れておくべきなのだろうが、肉親の情で勘当するに留めたんだ」

「わざわざ……誤解を、招くように?」

「君は信じていたんだろう?」

「……はい」

 私がこの前にヒルデガードから聞いた話によると『アーロンは爵位を継ぐために、私と結婚した』だった。けれど、先ほど聞いた事情によると『アーロンは私と結婚するために、爵位を継いだ』となるのだ。

 それには、あまりにも……大きく違い過ぎる。だって、結婚したという意味が反対になってしまうわ。

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