会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
 育ちの良さそうな、金色の髪に明るい緑色の瞳を持つとても可愛らしい女の子だった。多分、同じ年頃なのだろうが、俺は成長が遅く背が低かった。

 背の高い彼女に見下ろされて、なんとなく面白くない気分になった。

「大人の会話に退屈になってしまって、逃げてきたの……貴方も一緒ですか?」

「……そう。いつまで経っても終わりそうもないから、逃げてきたんだ。祖父さんたちの武勇伝は、面白くないし」

 質問に同意して俺が肩を竦めると、彼女は楽しそうに笑った。

「同じです! 私はブランシュ。スレイデル伯爵レナードの娘です。あなたは?」

「アーロン」

「アーロンは……貴族ですよね?」

 どう考えても身なりの良い貴族なのに、何故家名を名乗らないのかと尋ねたブランシュに、俺は目を細めて首を横に振った。

「俺は独り立ち出来るようになったら、すぐに家を出るから。だから、もうすぐ貴族ではなくなる。ブランシュにも名乗らない」

「まあ……」

 ふふっと微笑んだ彼女は、貴婦人何人かが笑い合っているお茶会の様子を確認して、俺に視線を戻した。

「貴族が嫌なの?」

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