会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
 再婚相手を見つけるのだと、そう決心して会場に足を踏み入れたというのに、すぐに回れ右をして帰りたくなってしまった。

 立ち上がったアーロンは私の髪を撫でると、真面目な表情になった。

「俺は幼い頃……自分のことが、嫌いだった。怒りを抑えられず、いつも失敗した。だが、ブランシュに好かれるならば、どうだろうと考えて、それを実践していた。今将軍になれたのも、すべてあの時に会ったブランシュのおかげなんだ」

「アーロン?」

「俺に爵位を継がせたかった祖父にけしかけられたと言えば、それはそうなのだろうが……ブランシュ。君と結婚したくて、ここまで頑張れたんだ。それほどまでに、君を愛している。もう……絶対に離れない」

 髪にキスをして去って行ったアーロンは、一度会っただけの私と結婚したかったと話したし、そのために将軍になったのだと言った。

 だとしたら……あの結婚式があった、あの日。

 やっと会えることになった私と離れて……自分は亡くなった事にしてでも、この国を守ろうと決断したアーロンの気持ちを考えると、私はその夜、なかなか眠りに落ちることが出来なかった。



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