会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
だからこそ、この提案を聞いて喜んだ。
「絶対に楽しませる。ブランシュは家で仕事ばかりをしていたそうだから、買い物だってなんだって楽しめば良いんだ」
「私は奥様の要求を最優先にするように、旦那様から事前にご命令を受けておりましたので」
その時に傍に居たクウェンティンをチラリと睨み付けたので、優秀な執事は肩を竦めた。
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意外なことに……と言ってしまっては、失礼かもしれないけれど、アーロンとの町歩きは本当に楽しいものだった。
私を誘うと決めてから、女性の好みそうなお店を調べていてくれたのか、見て居るだけでも楽しそうなお店を次々に何軒も回った。
いくつか買う物を決めたけれど、サイズ直しや調整が必要なものが多いので、後日邸へと持って来てくれるらしい。
本当に、楽しかった。私はこういう楽しみが、母を亡くしてから失ってしまっていたから。
馬車に揺られてキーブルグ侯爵邸へと帰る途中、私は楽しかったデートのお礼を彼に伝えることにした。