会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
 ハンナは今自分の居る立場が良くわかったのか、慌てて立ち上がり、必死で三人に頼み込んでいた。

 義母もこれはいつものように、自分の権威を振りかざしてどうにかなる事態ではないと気がついたらしい。

「……帰ります。ブランシュ。元気で」

 義母はそう言って立ち去った。ハンナも慌てて後を追った。サマンサと彼女の子どもを一瞥して去って行ったけれど、もう義母には何かを出来る訳はない。

 アーロン・キーブルグが守ると言ってくれたのだから。

 ……あれは長い別れの言葉だ。義母は私にはもう関わることはないと思う。

「……アーロン。ありがとう」

「夫が妻の名誉のために、戦うのは当然だ」
 アーロンは頷いて短くそう言ったけれど、私は涙が止まらなかった。私をずっと苦しめていた義母もハンナも、私にはもう近寄らない。

 だって、私の夫が何があっても、守ってくれるから。




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