会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
 シュレイド王国では、将軍アーロンは有名人なのだ。下手すると周辺国まで笑い話として、この話は広まってしまうかもしれない。

「けど、アーロンならば、きっとこう言うわ。誰かを守れるために勝てるのなら、自分が笑われるくらいどうでも良いことだって」

 アーロンならばどんな戦いでも最後に勝って、私の元に帰って来てくれる。そう信じられる。

 これまでもこれからも、そうしてくれるだろう。


◇◆◇


 テラスでお茶を飲んでいた私と傍で給仕していたクウェンティンは、今では剣の稽古まで出来てしまえるようにまでなったアーロンを見ていた。

「そうね……サムには、本当に感謝しているわ」

 あの時、サムは村に住んでいる息子夫婦の家に遊びに来ていて……本当に奇跡だったのだ。

「奥様がエタンセル伯爵夫人のような人であれば、彼も助けなかったと思います。奥様は旦那様が亡くなったと聞いても、キーブルグ侯爵家を支えねばと頑張っていらした。サムもそれは……ええ。奥様がどれだけ辛い状況に居ても使用人に当たるようなお方ではない事を知っていましたので」

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