会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
 身体のラインに、ぴったりと沿うように縫製されていて、胸元はかなり深いラインまで開き、私のような成人したばかりの年齢には、かなり背伸びした色気あるデザイン。

 未亡人という立場で条件の良い再婚相手を見繕うのだから、このくらいは攻めた方が良いと、したり顔のマダムから強く勧められ、押しに弱い私は戸惑いつつも、その時は確かに頷いた。

 私はこれまでの自分から生まれ変わって、良き再婚相手を探して幸せになるのだと固く決意していたのだから。

 けれど、周囲の男性の視線が私の胸の辺りにやけに集まっているのを感じると、もう少し生地を上まで付け足して貰えば良かったかもしれないと日和ってしまった。

 ……いいえ。いけないわ。

 私は自分の幸せを掴むため再婚相手を見つけに、ここへ来ているのだから、男性に注目されることそれ自体は、良い事のはず。そうなのよ。

 色気あるドレスを含む私の外見は、単に男性からの注目を集める手段。

 声を掛けてもらう男性の人数を増やし、中身は時間をかけてわかってもらえば良いはずだわ。

 ……求婚者を募る若い令嬢たちは、皆、そうしているはずだもの。

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