会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
12 死んだはずだった夫
冷たい涙がすうっと頬を伝ったのを感じて、眠っていた私はパッと目を開いた。
「え……ここは……」
現在、自分がどこに居るのか、すぐには理解が出来なかった。
上半身を起こして見回せば、ここは夫アーロンの主寝室。
彼は亡くなったとは言え、当主の部屋だからと、常に綺麗にしていて……私だって、アーロンの代行をするために執務に必要な物を取りに何度も入った。
どうして、私はここに居るの……? もしかしたら、仕事に疲れ、そのまま眠ってしまったのかもしれない。
慌てて横になっていた大きなベッドから立ちあがろうとすると、温かな毛布を掛けられていた私は、自分があの時に着ていた赤いドレスをまだそのまま着ていて、あれは夢ではなかったと悟った。
「嘘でしょう……」
あれは、夢ではなかった。亡くなったはずの私の夫は確かに生きていたのだ。そして、戦争に勝利して帰って来た。
どこか遠くから、怒声が聞こえて来た。内容は聞こえないものの、激しく誰かを罵っているようで、私は慌てて部屋の外を出た。
「……何? 何があったの?」
広い廊下に出ても、内容は聞こえない。私は声が聞こえて来る玄関ホールへと向かった。
「……ヒルデガード! 何故、俺の邸にお前が居るんだ? 五年前に、亡き父にお前は家族でもなんでもないと、勘当されただろう?」
「兄上……それは、父上も怒っていただけで……」
「え……ここは……」
現在、自分がどこに居るのか、すぐには理解が出来なかった。
上半身を起こして見回せば、ここは夫アーロンの主寝室。
彼は亡くなったとは言え、当主の部屋だからと、常に綺麗にしていて……私だって、アーロンの代行をするために執務に必要な物を取りに何度も入った。
どうして、私はここに居るの……? もしかしたら、仕事に疲れ、そのまま眠ってしまったのかもしれない。
慌てて横になっていた大きなベッドから立ちあがろうとすると、温かな毛布を掛けられていた私は、自分があの時に着ていた赤いドレスをまだそのまま着ていて、あれは夢ではなかったと悟った。
「嘘でしょう……」
あれは、夢ではなかった。亡くなったはずの私の夫は確かに生きていたのだ。そして、戦争に勝利して帰って来た。
どこか遠くから、怒声が聞こえて来た。内容は聞こえないものの、激しく誰かを罵っているようで、私は慌てて部屋の外を出た。
「……何? 何があったの?」
広い廊下に出ても、内容は聞こえない。私は声が聞こえて来る玄関ホールへと向かった。
「……ヒルデガード! 何故、俺の邸にお前が居るんだ? 五年前に、亡き父にお前は家族でもなんでもないと、勘当されただろう?」
「兄上……それは、父上も怒っていただけで……」