会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
「私は……アーロンと居ると、何だか、居心地が悪くなってしまうの。胸が自然と苦しくなって、逃げ出したくなってしまう。もしかしたら、私たち二人は……あまり、相性が良くないのかもしれないわ」

 言いづらいことだけど私が信用の置けるサムならと思って打ち明けたことなのに、彼は何故か吹き出して大声で笑い始めた。

「奥様……それは、旦那様を怖がっているのではありません。なんと、ご説明すれば良いものか……」

「……ブランシュ! ここに居たのか」

 仕事を終え城から帰って来たらしいアーロンの声が聞こえて、サムは彼に挨拶をした。

「旦那様。おかえりなさいませ」

「サム。お前もブランシュと、仲が良いのか……俺が居なかった一年間に、何もかも様変わりしてしまったな」

 アーロンは城から帰って来てそのままなのか、仕事帰りの軍服そのままでこちらへと歩み寄ってきた。

「旦那様が命を賭けて国を守って下さったから、我々はこうして平和に生きております。それでは、儂は仕事の続きがありますので……ごゆっくり」

「ああ……ご苦労。おい! サム……ここに、鋏を落としているぞ」

「これはこれは、失礼。それでは」
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