会えないままな軍神夫からの約束された溺愛
 エタンセル伯爵家では母が亡くなってから、まともな食事は与えられなかったし、キーブルグ侯爵家のシェフの作る食事は正直に言うと、私には味が濃かった。

 だから、あまり……好んでまで食すような食事がない。

「ブランシュ。困らせてしまったか? 色でも良い。好きな色はあるか?」

 アーロンは黙ってしまった私を、気遣うように言葉を重ねた。

 こういった気の利く部分を知れば、使用人たちが彼を慕っている理由がよく分かる。

「そうですね。私は青色が好きです」

 そういえば、アーロンの目の色と同じ色だ。美しい自由な空を映すような瞳の色。

「青なのか……しかし、君は一年間俺の喪に服していたことを知っているんだが、今も黒い服ばかり着ているな……」

 私は嫁いでからは喪服として黒い服を洗い替えを含め、何着か作っただけ。そして、エタンセル伯爵家に居た頃の服は、とても人前で着れるようなドレスはなかった。

「申し訳ありません。私の着ている服が帰ってきたアーロンの気分を害するとは、思いもよりませんでした」

 慌てて謝った私に、アーロンはそう言う意味ではないと言わんばかりに手を振った。

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