まぶしいほど、まっすぐ!
第六話
〇学校 月組教室内 (昼休み)
珠李、夏奈、ソナタが顔を突き合わせている。
ソナタの前には皿に盛られたパスタと生ハムが載ったサラダ。
夏奈「それって、デートだろ!」
珠李「デ、デート!?」
ソナタ「(ナプキンで口を拭いながら)間違いなく、デートのお誘いですわ」
珠李「デ、デート……」
「で、でも、春風くんは」
「お、お母さんの洋服を作る、た、ための材料を買いたいだけで……」
ソナタ「でしたら珠李ちゃんが一人で買いに行けば済むことですわ」
夏奈「だな。わざわざ春風が付いて来るってことは」
「春風は珠李と一緒にいたいってことだよ」
ひょっこりと相星が顔を出す。
相星「何、何? ずいぶん盛り上がってるね」
ソナタ「珠李ちゃんが、今度の日曜日にデートをするんですの」
珠李「ソ、ソナタちゃん!」
相星「ホント!? 誰と!?」
夏奈「このクラスで相星に次にイケメン野郎だ」
朝陽「夢奈には悪いけど、オレは夏帆一筋だから──」
相星「春っちと!?」
「いつの間にそんな関係になったの!?」
朝陽「おい!」
珠李「そ、そ、そんな関係も何にも……」
「き、生地を買いに行くだけで……」
夏帆「で、噂の色男は?」
相星「なんかシュンちゃんと内緒話してる」
夏帆「最近、コソコソ話してるよな、あの二人」
「デキてんのか?」
相星「かもね」
ソナタ「ところで珠李ちゃん」
「お洋服はお持ちなの?」
珠李「コ、コンテストで着たのを──」
ソナタ「正気ですの!?」
夏帆「さすがにそれはマズいだろ!」
珠李「ダ、ダメかな……」
夏帆「そりゃそうだろ」
「なあ、リヒト。初デートで彼女があの服で来たら引くよな?」
珠李「だ、だから、デ、デートじゃないんだって!」
相星「ボクは可愛いと思うけど」
「確かにあの衣装は、浮いちゃうかもね」
珠李「で、でも……よ、洋服はあまり持ってなくて……」
ソナタ「心配無用ですわ!」
「(不敵な笑み)このわたくしにお任せあれ」
朝陽「おーい。オレもいるんですけど」
〇日曜日のショッピングモール (午前十時四十五分)
出入口。家族連れの客たちが行き来している。
人の出入りの邪魔にならないように、春風を待つ珠李。
春風「ごめん、待った?」
珠李「わ、私も今来たところだから」
春風「そう、良かった」
珠李「ヒ、ヒメ姉さんもわざわざ付き合っていただいて」
「あ、ありがとうございます」
春風「何言っての」
珠李「え?」
春風「女の子と会うんだから」
「連れて来てるわけねえだろ」
珠李「そ、そうなんだ……」
(お姉さんって)
(春風くんとずっと一緒ってわけじゃないんだ)
(覚えとこ)
珠李は改めて春風を見る。私服姿に見惚れる。
珠李(春風くんの私服って、こんな感じなんだ)
珠李、春風が自分のことをじまじと見ていることに気付く。
珠李「ど、どうしたの?」
春風「いや、制服着てる時と雰囲気違うから」
珠李「へ、変かな……」
春風「(興奮気味に)めっちゃ可愛い!」
「めっちゃ似合ってるよ!」
珠李「(表情を明るくさせて)だ、だよね!」
「こ、この服、ソ、ソナタちゃんが貸して、く、くれたの!」
「か、髪の毛は、な、夏帆ちゃんがセットしてくれて」
「ふ、二人とも、セ、センスが良くて」
春風は複雑な表情。
春風(俺は夢奈をホメたんだけどな)
珠李はキョトンとしている。春風はそんな珠李を見て微笑む。
春風(まっ、いっか)
「ところででメイクは? 自分でやったのか?」
珠李「う、うん……」
「そ、そんなに酷い?」
春風「いや。うまいよ」
「でも、俺ならもっと可愛くできる」
「だから『今度は』俺がやる」
「じゃ、行くか」
珠李「う、うん……」
(今度──って言ったよね)
(てことは、今度があるってことなのかな)
珠李は春風の背中を見て、頬が熱くなるのを感じる。
〇ショッピングモール内 フードコート (午後十二時過ぎ)
家族連れの客たちで込み合っている。
テーブルをはさんで座る二人。
珠李の前にはクリームソーダ。春風の前にはコーラ。
春風「ホントにスマン!」
珠李「そ、そ、そんな、は、春風くんが悪いわけじゃないから」
春風「いや、完全にナメてた」
「生地がこんなにも高いなんて」
珠李「わ、私がこだわっちゃったから」
「で、でも、今日、か、買えた生地でも十分だよ」
春風「こんなことなら、もっとバイトのシフト入れてもらって」
「稼いどけば良かったよ」
珠李「は、春風くん、アルバイトしてるんだ」
春風「つっても、知り合いのトコのカフェで週に二回だけだ。たいしたことないよ」
「それよりごめんな。俺のせいで」
「なんか妥協させちゃってみたいでさ」
珠李は我慢できずに噴き出す。
春風「(赤面して)な、何だよ!?」
珠李「ご、ごめんなさい」
「が、学校で見てる、は、春風くんと違くて」
「何だか、か、可愛かったから」
春風「可愛いって……」
楽し気に笑う珠李を、微笑ましく見る春風。
春風「せかっくここまで来たんだし」
「このまま帰るのもったいなくね?」
「ちょっと見て回ろうよ」
珠李「え?」
春風「この後、何か用事ある?」
「弟さんたち、前みたいに近所に人に見てもらってんだっけ?」
珠李「う、ううん、今日はお母さんが休みだから」
春風「そっか。じゃあ、一日一緒にいられるわけだ」
珠李は春風の言葉にドキッとする。
その後、二人は楽しく話したり、ゲームセンターで遊んだり、様々な店を回る。まるでカップルのように遊ぶ。
二時間後──
春風「ちょっと休憩するか」
「何か飲み物買って来るよ」
珠李「じゃ、じゅあ、お金を──」
春風「いいよ、服作ってもらうんだから」
「何がいい?」
珠李「じゃ、じゃあ、クリームソーダで」
春風「また? ホント好きなんだな」
珠李「か、家族で遊園地に行った時に、初めて飲んだの」
「そ、その時にこんなおいしいものがあるんだって感動して……」
「ちょ、ちょっと子供っぽいよね」
春風「全然!」
「俺も好きだし」
珠李「ホ、ホント!?」
春風「ああ。買って来るから、そこのベンチに座って待ってろ」
珠李「あ、ありがとう」
春風は行ってしまう。それを見送っていると、背後から声。
相星「アレレレ?」
珠李「あっ」
相星「夢奈さんじゃん」
「春っちとデートって、ここだったの?」
珠李「だ、だからデートじゃなくて……」
相星「春っちは?」
珠李「の、飲み物を買いに行ってくれてて」
相星「なんだ、ホントに彼氏みたいじゃん」
春風「お待たせ」
「あれ? リヒトじゃないか」
相星「やっほー! たまたま夢奈さんを見つけてさ」
春風「そうか」
相星「せっかくだからボクもご一緒しちゃおうかな」
春風「悪い」
相星「え?」
春風「今日は、遠慮してくれ」
険悪な雰囲気。
しばらくにらみ合う春風と相星。
アタフタする珠李。
相星「冗談だよ」
「春っちマジなんだもん」
「ボクも女の子待たせてるしね」
春風「そっか。じゃ、また明日な」
相星「うん、学校でね」
春風「いこうか、夢奈」
振り返る珠李はハッとする。珠李が見ていることに気が付いた相星は、にこやかな笑みを浮かべて手を振る。
春風「どうかしたか?」
珠李「ううん。な、何でもない」
(相星くん、怖い顔してこっちをにらんでたような……)
珠李、夏奈、ソナタが顔を突き合わせている。
ソナタの前には皿に盛られたパスタと生ハムが載ったサラダ。
夏奈「それって、デートだろ!」
珠李「デ、デート!?」
ソナタ「(ナプキンで口を拭いながら)間違いなく、デートのお誘いですわ」
珠李「デ、デート……」
「で、でも、春風くんは」
「お、お母さんの洋服を作る、た、ための材料を買いたいだけで……」
ソナタ「でしたら珠李ちゃんが一人で買いに行けば済むことですわ」
夏奈「だな。わざわざ春風が付いて来るってことは」
「春風は珠李と一緒にいたいってことだよ」
ひょっこりと相星が顔を出す。
相星「何、何? ずいぶん盛り上がってるね」
ソナタ「珠李ちゃんが、今度の日曜日にデートをするんですの」
珠李「ソ、ソナタちゃん!」
相星「ホント!? 誰と!?」
夏奈「このクラスで相星に次にイケメン野郎だ」
朝陽「夢奈には悪いけど、オレは夏帆一筋だから──」
相星「春っちと!?」
「いつの間にそんな関係になったの!?」
朝陽「おい!」
珠李「そ、そ、そんな関係も何にも……」
「き、生地を買いに行くだけで……」
夏帆「で、噂の色男は?」
相星「なんかシュンちゃんと内緒話してる」
夏帆「最近、コソコソ話してるよな、あの二人」
「デキてんのか?」
相星「かもね」
ソナタ「ところで珠李ちゃん」
「お洋服はお持ちなの?」
珠李「コ、コンテストで着たのを──」
ソナタ「正気ですの!?」
夏帆「さすがにそれはマズいだろ!」
珠李「ダ、ダメかな……」
夏帆「そりゃそうだろ」
「なあ、リヒト。初デートで彼女があの服で来たら引くよな?」
珠李「だ、だから、デ、デートじゃないんだって!」
相星「ボクは可愛いと思うけど」
「確かにあの衣装は、浮いちゃうかもね」
珠李「で、でも……よ、洋服はあまり持ってなくて……」
ソナタ「心配無用ですわ!」
「(不敵な笑み)このわたくしにお任せあれ」
朝陽「おーい。オレもいるんですけど」
〇日曜日のショッピングモール (午前十時四十五分)
出入口。家族連れの客たちが行き来している。
人の出入りの邪魔にならないように、春風を待つ珠李。
春風「ごめん、待った?」
珠李「わ、私も今来たところだから」
春風「そう、良かった」
珠李「ヒ、ヒメ姉さんもわざわざ付き合っていただいて」
「あ、ありがとうございます」
春風「何言っての」
珠李「え?」
春風「女の子と会うんだから」
「連れて来てるわけねえだろ」
珠李「そ、そうなんだ……」
(お姉さんって)
(春風くんとずっと一緒ってわけじゃないんだ)
(覚えとこ)
珠李は改めて春風を見る。私服姿に見惚れる。
珠李(春風くんの私服って、こんな感じなんだ)
珠李、春風が自分のことをじまじと見ていることに気付く。
珠李「ど、どうしたの?」
春風「いや、制服着てる時と雰囲気違うから」
珠李「へ、変かな……」
春風「(興奮気味に)めっちゃ可愛い!」
「めっちゃ似合ってるよ!」
珠李「(表情を明るくさせて)だ、だよね!」
「こ、この服、ソ、ソナタちゃんが貸して、く、くれたの!」
「か、髪の毛は、な、夏帆ちゃんがセットしてくれて」
「ふ、二人とも、セ、センスが良くて」
春風は複雑な表情。
春風(俺は夢奈をホメたんだけどな)
珠李はキョトンとしている。春風はそんな珠李を見て微笑む。
春風(まっ、いっか)
「ところででメイクは? 自分でやったのか?」
珠李「う、うん……」
「そ、そんなに酷い?」
春風「いや。うまいよ」
「でも、俺ならもっと可愛くできる」
「だから『今度は』俺がやる」
「じゃ、行くか」
珠李「う、うん……」
(今度──って言ったよね)
(てことは、今度があるってことなのかな)
珠李は春風の背中を見て、頬が熱くなるのを感じる。
〇ショッピングモール内 フードコート (午後十二時過ぎ)
家族連れの客たちで込み合っている。
テーブルをはさんで座る二人。
珠李の前にはクリームソーダ。春風の前にはコーラ。
春風「ホントにスマン!」
珠李「そ、そ、そんな、は、春風くんが悪いわけじゃないから」
春風「いや、完全にナメてた」
「生地がこんなにも高いなんて」
珠李「わ、私がこだわっちゃったから」
「で、でも、今日、か、買えた生地でも十分だよ」
春風「こんなことなら、もっとバイトのシフト入れてもらって」
「稼いどけば良かったよ」
珠李「は、春風くん、アルバイトしてるんだ」
春風「つっても、知り合いのトコのカフェで週に二回だけだ。たいしたことないよ」
「それよりごめんな。俺のせいで」
「なんか妥協させちゃってみたいでさ」
珠李は我慢できずに噴き出す。
春風「(赤面して)な、何だよ!?」
珠李「ご、ごめんなさい」
「が、学校で見てる、は、春風くんと違くて」
「何だか、か、可愛かったから」
春風「可愛いって……」
楽し気に笑う珠李を、微笑ましく見る春風。
春風「せかっくここまで来たんだし」
「このまま帰るのもったいなくね?」
「ちょっと見て回ろうよ」
珠李「え?」
春風「この後、何か用事ある?」
「弟さんたち、前みたいに近所に人に見てもらってんだっけ?」
珠李「う、ううん、今日はお母さんが休みだから」
春風「そっか。じゃあ、一日一緒にいられるわけだ」
珠李は春風の言葉にドキッとする。
その後、二人は楽しく話したり、ゲームセンターで遊んだり、様々な店を回る。まるでカップルのように遊ぶ。
二時間後──
春風「ちょっと休憩するか」
「何か飲み物買って来るよ」
珠李「じゃ、じゅあ、お金を──」
春風「いいよ、服作ってもらうんだから」
「何がいい?」
珠李「じゃ、じゃあ、クリームソーダで」
春風「また? ホント好きなんだな」
珠李「か、家族で遊園地に行った時に、初めて飲んだの」
「そ、その時にこんなおいしいものがあるんだって感動して……」
「ちょ、ちょっと子供っぽいよね」
春風「全然!」
「俺も好きだし」
珠李「ホ、ホント!?」
春風「ああ。買って来るから、そこのベンチに座って待ってろ」
珠李「あ、ありがとう」
春風は行ってしまう。それを見送っていると、背後から声。
相星「アレレレ?」
珠李「あっ」
相星「夢奈さんじゃん」
「春っちとデートって、ここだったの?」
珠李「だ、だからデートじゃなくて……」
相星「春っちは?」
珠李「の、飲み物を買いに行ってくれてて」
相星「なんだ、ホントに彼氏みたいじゃん」
春風「お待たせ」
「あれ? リヒトじゃないか」
相星「やっほー! たまたま夢奈さんを見つけてさ」
春風「そうか」
相星「せっかくだからボクもご一緒しちゃおうかな」
春風「悪い」
相星「え?」
春風「今日は、遠慮してくれ」
険悪な雰囲気。
しばらくにらみ合う春風と相星。
アタフタする珠李。
相星「冗談だよ」
「春っちマジなんだもん」
「ボクも女の子待たせてるしね」
春風「そっか。じゃ、また明日な」
相星「うん、学校でね」
春風「いこうか、夢奈」
振り返る珠李はハッとする。珠李が見ていることに気が付いた相星は、にこやかな笑みを浮かべて手を振る。
春風「どうかしたか?」
珠李「ううん。な、何でもない」
(相星くん、怖い顔してこっちをにらんでたような……)