アイビーは私を放さない
(うわ、すごく高い車……)
そう思っていると、外車のドアが開いてメルキオールさんが出てきた。今日のメルキオールさんはいつもお花屋さんに来る時とは違って、さりげなくブランド物を身に付けている。でも身につけているもの全部がブランド物じゃないからちょっと安心。
「メルキオールさん!すみません。お待たせしちゃいましたか」
「まだ待ち合わせ時間の十分前ですし、私も今来たところですから……。ですがーーー」
メルキオールさんの手が私の頰に触れる。大きな手。それに何かいい香りがする。香水だ。
「メルキオールさんと呼ぶのはやめてくれませんか?せっかくのデートです。名前で読んでほしい」
「へっ!?名前!?」
「できればアルと呼んでほしいですね」
メルキオールさんは悪戯っぽく笑う。でも私は年功序列が当たり前の日本でずっと育ってきた。年上の人を気軽にニックネームで呼ぶことなんてできない。
「えっと……では、アルバートさんとお呼びしてもいいですか?」
「美月さんに名前を呼んでもらえるのは、とても嬉しいことですね」
そう思っていると、外車のドアが開いてメルキオールさんが出てきた。今日のメルキオールさんはいつもお花屋さんに来る時とは違って、さりげなくブランド物を身に付けている。でも身につけているもの全部がブランド物じゃないからちょっと安心。
「メルキオールさん!すみません。お待たせしちゃいましたか」
「まだ待ち合わせ時間の十分前ですし、私も今来たところですから……。ですがーーー」
メルキオールさんの手が私の頰に触れる。大きな手。それに何かいい香りがする。香水だ。
「メルキオールさんと呼ぶのはやめてくれませんか?せっかくのデートです。名前で読んでほしい」
「へっ!?名前!?」
「できればアルと呼んでほしいですね」
メルキオールさんは悪戯っぽく笑う。でも私は年功序列が当たり前の日本でずっと育ってきた。年上の人を気軽にニックネームで呼ぶことなんてできない。
「えっと……では、アルバートさんとお呼びしてもいいですか?」
「美月さんに名前を呼んでもらえるのは、とても嬉しいことですね」