アイビーは私を放さない
「この世界はバース性で全てが決まるという考えが根強いね。私も苦しかったよ。アルファというだけで周りから妬まれて、オメガの娘を番にと言われて、このバース性を憎み続けた。でもやっとこのバース性を愛せる時が来たんだ」

アルバートさんが両手で私の頰を包む。嫌でも彼のギラギラとした緑の目を見なくてはならない。背中に寒気が走る。嫌だ。逃げないと。だけど、体が何故か動かない。

「やっと逢えた。私の可愛いオメガ」

頭が揺さぶれたかのような衝撃が走った。ああ、最悪の事態だ……。でも、抗うことができない。

私の意識がプツリと音を立てて暗闇に落ちていった。












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