アイビーは私を放さない

運命の番

優秀なアルファと劣っているオメガには、ただ番とは違うとある関係があったりする。それが「運命の番」だ。この世界のどこかに存在すると言われる運命の相手である。お互い一目で離れられなくなるほど強力な関係なのだが、その運命の番に出会う確率は奇跡に等しく、宝くじがあたるよりも低いと言われている。

「んんっ……」

目を覚ますと、私は大きなベッドに寝かされていた。体を起こして辺りを見回す。窓の外には夜景が広がっていて、私は随分長く寝ていたのだとわかる。広々とした部屋はとても豪華で、ここがどこかのホテルのスイートルームだということはわかった。

「逃げないと！」

ワンピースは脱がされていて身に纏っているのはバスローブ一枚だけど、着替えや荷物を探している余裕なんてない。早くアルバートさんから離れないと！

部屋のドアに手をかけた時、ドアが開いた。そこには私が一番会いたくなかったアルバートさんがいて、私の口から悲鳴が出る。