アイビーは私を放さない
アルバートさんが私を抱き上げる。腕の中で必死にもがいたけど、うまく体が動かない。そのままベッドに押し倒された。

「美月」

甘ったるい声でアルバートさんが名前を呼ぶ。それだけでも体がおかしくなっていくような感覚が走った。

「……ま、待って……」

アルバートさんの胸板を押す。でもやっぱりびくともしない。手を取られて頭上で固定されてしまった。抵抗する術を失った私を満足そうにアルバートさんは見つめ、キスを落としていく。

「待てない。ずっとこの時を待っていたんだよ。可愛い美月。私のオメガ」

オメガという呪いは私を永遠に苦しめる。アルバートさんのキスが、手が、私に絡み付いて離れなくなる。それはまるでツタのようだ。綺麗だけど、誰かが取らない限りそこに永遠とあり続ける。

長い夜が幕を開けた。










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