なぜか軟禁されていました
10
「…」
「…」
食事を終ると、二人はお互いにどうしたら良いか分からずに、無言で座っていた。
長い沈黙を破ったのは、カインだった。
「━━あまり、長居しても悪いな。あ、
洗い物を手伝おう」
どこかぎこちない様子で、カップを持ち、流しへと向かうカイン。
片付けまでしてもらうのは申し訳ない。
「いえ、いえ、お客様に洗い物していただくなんて、そんな訳にはいきません、大丈夫です! 」
慌てて流しへと向かう
「後ほど洗いますので、大丈夫ですから」
カップを流しへと一旦置いた。
リィーンはカインを見送る為に、玄関へと向かっていた。
けれど、カインは「━━お客様か……」とボソッと呟き、リィーンの背中へと向かい声をかける
「今、洗いたい気分だ!」
「え?」
リィーンが振り向くと、カインがおもむろにカップを洗い始めていた。
いつにまに?
カイン様は、意外とせっかちな方なのね。
リィーンは、カインが洗い終わったカップ類を拭くことにした。
「あ~リィーンは、
ゆっくりと、そ、そうだ、ゆっくりと拭くといい」
「は…い?」
普段通りに拭いていたのだけれど、雑だったかな
もう少しゆっくりと丁寧に拭くようにと、注意されているのだろう
カイン様は、きれい好きなのかもしれない。
私が大雑把なのかもしれないけれど。
リィーンは、いつもより丁寧に時間をかけて拭きなおす。
「そんなに急ぐ必要はない、時間はたっぷりある」
カップ類を洗い終えたカインは、ふと家の中を見渡す。
「思ったより、何もないのだな」
一通り見渡した後、私をじっとリィーンを見つめる。
今の自分の身長が分からないけれど、自分より頭2つ分ほどは高いカイン様を見上げる。
服の上からでも分かるくらいに、がっしりとした筋肉質な体つき、精悍な雰囲気の男性だ。
黒い髪はすっきりと短く、瞳の色は漆黒で、前世で見慣れた色なので親近感が湧く。
けれど、所々に傷跡があり、騎士として戦った傷跡なのだろうと察せられる。
平和な前世とは違う世界なのだと改めて感じる。
それにしても、こんなに真っ直ぐに見つめられると恥ずかしいのだけどっ
「あ、あ、あの何か…私の顔についていますか?」
カインはさらに距離を詰めて近づくと、リィーンの上から下まで全身を眺めていた。
「ちょっ、あ、あの、何ですか?」
そんなに凝視するほどおかしな格好をしているだろうか?
よく考えたら、この世界の人と関わったことがない。
もしかして、この世界では常識外れの格好があるのかもしれない
急に不安になり、リィーンは目を逸らし俯いていた。
その間、ゲームの世界のキャラの服装を必死に思い出そうとしていた。
鏡で見た限り、普通の服装だと思うけど。
まぁ、多少、着古した感じはするけれど……
緊張から息を止めそうになる
遠ざかる気配がしたので、ほっと胸をなでおろす。
いったい、何だったの?
ふと顔を上げると、カインは食器棚を見ていた。
「一応皿などはあるのだな
鍋などは…?なるほど」
ぶつぶつと何かつぶやいているようだった。
もしかして、何か怪しまれたのだろうか。
治安隊の騎士だと言われていたし、私の行動に、何かひっかかったのかもしれない
「あ、あのカイン様、
その、あまり掃除も行き届いてないですし、それに、
私、何も隠したりしていません!』
「あ、いやすまない。不快にさせただろうか。
ん?隠すとは?」
カインは慌てて食器棚から離れる。
「カイン様は、私が怪しいと思われたからここに来られたのではないですか?
騎士団にお勤めだとおっしゃってましたし……」
「━━は? いったい、何を? リィーン、いやそういう訳では……
不躾な行動をとってすまなかった
今日のところは、帰るとしよう」
カインは頭を下げ謝罪の言葉を口にする。
それ以上何も言わずに、あっさりと玄関へと向かった。
リィーンは拍子抜けしたけれど、すぐに我に返りカインの後に続く。
カインは立ち止まると、
「見送りはいらない、ここでいい」
と一言だけ言い残して、室内にリィーンを残しそのまま帰って行った。
「あ、あの、ご馳走さまでした。ありがとうございました!
お気をつけて…」
リィーンは、扉の閉まる前にカインに何とかお礼を伝える。
バタンと扉が閉まると「はぁ」と思わずため息が漏れた。
変な汗がでた。
どっと緊張感から解放された気がする。
何も悪いことなどしていないのに、家宅捜索されている気分になってしまった。
不審人物と疑われた訳ではないのなら、
もしかして、カイン様に助けを求めてもいいのだろうか?
「…」
食事を終ると、二人はお互いにどうしたら良いか分からずに、無言で座っていた。
長い沈黙を破ったのは、カインだった。
「━━あまり、長居しても悪いな。あ、
洗い物を手伝おう」
どこかぎこちない様子で、カップを持ち、流しへと向かうカイン。
片付けまでしてもらうのは申し訳ない。
「いえ、いえ、お客様に洗い物していただくなんて、そんな訳にはいきません、大丈夫です! 」
慌てて流しへと向かう
「後ほど洗いますので、大丈夫ですから」
カップを流しへと一旦置いた。
リィーンはカインを見送る為に、玄関へと向かっていた。
けれど、カインは「━━お客様か……」とボソッと呟き、リィーンの背中へと向かい声をかける
「今、洗いたい気分だ!」
「え?」
リィーンが振り向くと、カインがおもむろにカップを洗い始めていた。
いつにまに?
カイン様は、意外とせっかちな方なのね。
リィーンは、カインが洗い終わったカップ類を拭くことにした。
「あ~リィーンは、
ゆっくりと、そ、そうだ、ゆっくりと拭くといい」
「は…い?」
普段通りに拭いていたのだけれど、雑だったかな
もう少しゆっくりと丁寧に拭くようにと、注意されているのだろう
カイン様は、きれい好きなのかもしれない。
私が大雑把なのかもしれないけれど。
リィーンは、いつもより丁寧に時間をかけて拭きなおす。
「そんなに急ぐ必要はない、時間はたっぷりある」
カップ類を洗い終えたカインは、ふと家の中を見渡す。
「思ったより、何もないのだな」
一通り見渡した後、私をじっとリィーンを見つめる。
今の自分の身長が分からないけれど、自分より頭2つ分ほどは高いカイン様を見上げる。
服の上からでも分かるくらいに、がっしりとした筋肉質な体つき、精悍な雰囲気の男性だ。
黒い髪はすっきりと短く、瞳の色は漆黒で、前世で見慣れた色なので親近感が湧く。
けれど、所々に傷跡があり、騎士として戦った傷跡なのだろうと察せられる。
平和な前世とは違う世界なのだと改めて感じる。
それにしても、こんなに真っ直ぐに見つめられると恥ずかしいのだけどっ
「あ、あ、あの何か…私の顔についていますか?」
カインはさらに距離を詰めて近づくと、リィーンの上から下まで全身を眺めていた。
「ちょっ、あ、あの、何ですか?」
そんなに凝視するほどおかしな格好をしているだろうか?
よく考えたら、この世界の人と関わったことがない。
もしかして、この世界では常識外れの格好があるのかもしれない
急に不安になり、リィーンは目を逸らし俯いていた。
その間、ゲームの世界のキャラの服装を必死に思い出そうとしていた。
鏡で見た限り、普通の服装だと思うけど。
まぁ、多少、着古した感じはするけれど……
緊張から息を止めそうになる
遠ざかる気配がしたので、ほっと胸をなでおろす。
いったい、何だったの?
ふと顔を上げると、カインは食器棚を見ていた。
「一応皿などはあるのだな
鍋などは…?なるほど」
ぶつぶつと何かつぶやいているようだった。
もしかして、何か怪しまれたのだろうか。
治安隊の騎士だと言われていたし、私の行動に、何かひっかかったのかもしれない
「あ、あのカイン様、
その、あまり掃除も行き届いてないですし、それに、
私、何も隠したりしていません!』
「あ、いやすまない。不快にさせただろうか。
ん?隠すとは?」
カインは慌てて食器棚から離れる。
「カイン様は、私が怪しいと思われたからここに来られたのではないですか?
騎士団にお勤めだとおっしゃってましたし……」
「━━は? いったい、何を? リィーン、いやそういう訳では……
不躾な行動をとってすまなかった
今日のところは、帰るとしよう」
カインは頭を下げ謝罪の言葉を口にする。
それ以上何も言わずに、あっさりと玄関へと向かった。
リィーンは拍子抜けしたけれど、すぐに我に返りカインの後に続く。
カインは立ち止まると、
「見送りはいらない、ここでいい」
と一言だけ言い残して、室内にリィーンを残しそのまま帰って行った。
「あ、あの、ご馳走さまでした。ありがとうございました!
お気をつけて…」
リィーンは、扉の閉まる前にカインに何とかお礼を伝える。
バタンと扉が閉まると「はぁ」と思わずため息が漏れた。
変な汗がでた。
どっと緊張感から解放された気がする。
何も悪いことなどしていないのに、家宅捜索されている気分になってしまった。
不審人物と疑われた訳ではないのなら、
もしかして、カイン様に助けを求めてもいいのだろうか?