なぜか軟禁されていました

14

「いや、そんなに見つめられたら…ちょっ、困る!」

ふいっと顔を逸らすカイン。


カイン様の顔が少し赤くなっている?

もしかして、カイン様も人見知りなのかもしれない。

私も、人前で話す時にすぐに赤面していた。

人に視線を向けられると、見られていると意識してしまって、上がり症とでもいうのか、いつも真っ赤になっていた。

今は、どことなく他人に乗り移っているような気分がしている。もしかしたら、今なら大勢の前でのスピーチも赤面することなく話せるかも。

自分と比べても仕方ないけれど、
よく知りもしない私なんかを、突然に尋ねてくるのだもの。
人見知りということはないよね?

それならもしかして…

こちらでは、相手の目を見て話す習慣がないとか?

「カイン様、すみません。
私、世間知らずで。
じっと見たりして、いけなかったでしょうか?」

「あ、いや。そんなことはない。
むしろ、見られて嬉しかった自分に驚いたというか…その…
いや、なんでもない!」

ん?見られて嬉しい?

カイン様は、人から見られることが好きなのね、きっと。
もしかして、ナルシストだったり?
そんな感じでもないか

「そ、そうですか。なら、良かったです。すみません、話してる方を見つめる癖があるようで私」

「そうなのだな…コホン。
ま、まぁでも、ほどほどにした方がいい。リィーンは若い娘なのだから、勘違いする輩がいないとも限らない。
私は勘違いなどしないから、遠慮なく見つめてほしい」


「そ、そうですね。
私なんかが見つめては、迷惑に思われる方もいるかもしれませんね…すみません、気をつけます」

いけない、つい妄想ばかりしていて、相手の気持ちなど考えていなかった。

自分の行動が、相手に不快をあたえることもあるのに。

リィーンは自然と俯く体勢となる。

すると、突然カインに肩をつかまれて、見上げる姿勢になる。
驚いて声を出すこともできなかった。

「!」

「いや、そうじゃない!好意と勘違いする輩が……
自分を卑下してはいけない
もっと自信を持つべきだ
リィーンは、若いし可愛い。

話すと大人びているギャップもまたいい。柔らかな髪も、その瞳も…
リィーンが笑ってくれたら嬉しい。
リィーンには、許されるなら……あっ!す、す、す、す、すまない!」


カインは、慌てて掴んでいた手を離すと、後退する。

「すまない!痛くなかっただろうか?」


「び、びっくりしただけです。大丈夫です」

ドクンドクンドクンドクンと、心臓の鼓動が激しく聞こえる。

先程言われたことを思い出して、恥ずかしさから赤面しているのが分かる。

カイン様は、私にもしかして好意を?

ううん、そんな訳ない。
まだ知り合ったばかりだし、お世辞にも美人と言えない私なんかでは、一目惚れの線もない。自分の都合の良いように考えてはダメ。




きっと、正義感の強い方なのね。

自分を卑下する私を、励ましてくれただけ。

もしかしてカイン様は、女性に勘違いをさせる無自覚な人かもしれない。

いけない、気をつけなくては。
 
自分への好意だったら嬉しい、なんて、そんな欲を出してはいけない。

淡い恋心が芽生えそうな気がしたので、私は自分の心にそっと蓋をすることにした。

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