なぜか軟禁されていました

7

バタンと扉が閉まる音がした。

重い体をなんとか動かして、窓に近づいた。

門を出ようとするカイン様の姿を見つめる。




「あ、罠!大変!」


リィーンは、罠の事を思い出して、慌てて部屋を飛び出した。もしも罠に足が挟まれたりしたら、大怪我をしてしまう!

この世界に救急車なんてないだろうし、そもそも病院があったとしても、私は行くことができない。助けを呼びに行くことすらできない。

助けてくれて方を、見殺しにすることになりかねない!カイン様に怪我をさせたくない!

そんなこと絶対に嫌!カイン様に知らせなければ!

勢いよく玄関の扉を開けると、大声で叫ぼうとして思いとどまる。

カインが不自然な動きで進んで行くのが視界に入る。

「良かった、カイン様が無事で。


きっと、私にしか罠が発動しないのね」

張り詰めていた気持ちが解れて、ほっと胸を撫で下ろす。


リィーンは、ゲームの強制力が働いているのだろうと納得する。

そうでなければ、理解できない歩き方をしているから。

突然ジャンプしたり、ジグザグに進んだり、まるで罠がある場所を分かっていて、避けているみたいだ。

カイン様が、罠のことを知っているはずなんてないのに。

リィーンは、カインの後ろ姿がみえなくなるまで、名残惜しむように見送っていた。

カインの姿が見えなくなっても、しばらくその場から動けなかった。



誰かと言葉を交わしたのは、一体いつ以来だろう。

なんだか嵐のような方だった。

突然現れて、過ぎ去って行って。

でも、不思議と嫌じゃなかった。

心にそよ風が吹いたような、忘れかけていた感情を思い出させられたような、そんな不思議な気持ちになる。

そうしてまた、ただ過ごすだけのいつもの日々が始まる。

今までは一人で平気だったのに……

ほんの少しカイン様と過ごしただけなのに、無性に孤独感に苛まれた。

「寂しい…」


気分が落ち込んでいるので、
今日は、外に立つのはやめることにした。



寝よう

こういう鬱々とした気分の時は、何も考えずに寝るに限る。


リィーンは、部屋に戻ると、ベッドに横になった。


せめて夢の中では、自由でありたい。

まだ身体も重く、目を閉じるとすぐに夢の中へと誘われた。











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