【完結】雪溶けの契約結婚

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「じゃ、せめて、会社まで送りま…」

「リムジンなんかで出社するOL居ますか?
電車で行きますのでご心配なく。」

私はピシャリと跳ね除ける。

「じゃ、じゃあ、下までお見送りさせて下さい…」

子犬のように目を潤ませて言うので、私は仕方なく了承した。

エレベーターが動き出す。

「行ってきますのチューとか…」 

「しません!」

そんなこんなで、朝から調月さんを冷たくあしらい会社に向かった。

基本的に朝の私の機嫌は悪い。
低血圧なのだ。

タワーマンションから解放され、電車に乗ると、なんだかいつもの日常が戻ってきたような気がする。
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