【完結】雪溶けの契約結婚

64

私は部屋に鍵をかけて閉じこもった。
ありがたい事にシャワー室とトイレは付いている。

食事?
食べずに死ねば良い。

本気でそう思った。

私は羽をもぎ取られ、籠の中に入れられた小鳥だった。

もう、大空に戻る事は出来ない…

悔しくて、情け無くて、腹が立って、泣けてきた。

あの時落ち着いて警察に通報していれば…
こんな事にはきっとならなかった…

もう1度あのビルに上ったら今度こそは死ぬだろう。
本気でそう思った。

「江波さん?
鍵開けてください。」

「嫌よ!
入ってこないで!」

しかし、スペアキーを彼が持っていないはずもなく、調月さんはガチャリとドアを開けた。

私は枕を彼にぶん投げる。
< 64 / 104 >

この作品をシェア

pagetop