戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
 フレデリカはまず、血の繋がらない娘であるシルファを排除することにした。

 与えられていた広い部屋を没収し、宝石やドレスも奪い取り、使用人同然にこき使った。部屋も狭い使用人用の部屋を与え、食事も質素なものに変えさせた。

 シルファの扱いに苦言を呈した者はクビにした。他の使用人たちも物言いたげな目をしていたが、言うことを聞かなければクビにすると言えば渋々ながらもフレデリカの指示に従った。

 ずっと捨ててしまいたいと思っていた古い家財や魔導具を売り払い、流行最先端の絵画や調度品、最新型の魔導具を買い集めた。
 ドレスも流行りの店で何着も誂え、娘のフローラにも惜しみなく贅沢をさせた。

 新しいものや美しいものに囲まれ、フレデリカの心は満たされた。

 だが、そんな生活も長くは続かなかった。

 身の回りを着飾ることにしか目を向けていなかったが、フレデリカが贅の極みを尽くしている間に、領地では深刻な冷害に悩まされていた。夏の気温が著しく低下し、農作物の生育が芳しくなく、収穫量が激減してしまったのだ。

 何度も何度も領民からは嘆願書が届いていたのだが、あちこちの商会から届く請求書に紛れてどこかにいってしまっていたのだ。

 領地の状況に気づいた時にはもう手遅れだった。





< 102 / 154 >

この作品をシェア

pagetop