戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
この娘はどうも現実を分かっていない節がある。
キラキラとした宝石やドレスが大好きで、新しいものを買い与えると目をキラキラさせてとても可愛かった。だが、求めるままに買い与えてきた結果、夢見る少女のまま大人になってしまった。
「はあ、フローラ。今我が家にそんな余裕はないといつも言っているでしょう? 今あるドレスを着回してちょうだい」
「えええ〜。ねえ、こんな生活いつまで続くの? お姉様だけいい暮らしをしているのでしょう? 狡い狡い狡いわっ! それなら私がオルディル様に嫁ぎたい〜!」
頭を抱えて深いため息をついていたフレデリカが、ゆっくりと顔を上げた。
「そうよ……それだわ!」
「ええっ、なあに? どれ?」
フローラは貧相なシルファとは違って、体型は女性らしくしなやかで、フレデリカと同じ紅色の髪は艶やかで美しい。桃色の瞳はいつも潤んでいて庇護欲をそそる。
どういった経緯でシルファと婚姻を結ぶに至ったのかは知らないが、きっとシルファよりもずっと女性らしい魅力に溢れたフローラを見れば、シルファを捨ててフローラを妻に置きたいと思うに違いない。
「うふふ……アハハッ! そうよ、手紙を出しても無駄なら、直接会いに行けばいいのよ」
「えっ、お姉様に会えるの? やったあ!」
フローラの無邪気な笑い声とフレデリカの不気味な高笑いが、暗い影を落とす子爵家の屋敷にこだました。
◇
キラキラとした宝石やドレスが大好きで、新しいものを買い与えると目をキラキラさせてとても可愛かった。だが、求めるままに買い与えてきた結果、夢見る少女のまま大人になってしまった。
「はあ、フローラ。今我が家にそんな余裕はないといつも言っているでしょう? 今あるドレスを着回してちょうだい」
「えええ〜。ねえ、こんな生活いつまで続くの? お姉様だけいい暮らしをしているのでしょう? 狡い狡い狡いわっ! それなら私がオルディル様に嫁ぎたい〜!」
頭を抱えて深いため息をついていたフレデリカが、ゆっくりと顔を上げた。
「そうよ……それだわ!」
「ええっ、なあに? どれ?」
フローラは貧相なシルファとは違って、体型は女性らしくしなやかで、フレデリカと同じ紅色の髪は艶やかで美しい。桃色の瞳はいつも潤んでいて庇護欲をそそる。
どういった経緯でシルファと婚姻を結ぶに至ったのかは知らないが、きっとシルファよりもずっと女性らしい魅力に溢れたフローラを見れば、シルファを捨ててフローラを妻に置きたいと思うに違いない。
「うふふ……アハハッ! そうよ、手紙を出しても無駄なら、直接会いに行けばいいのよ」
「えっ、お姉様に会えるの? やったあ!」
フローラの無邪気な笑い声とフレデリカの不気味な高笑いが、暗い影を落とす子爵家の屋敷にこだました。
◇