戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
「シルファ・カーソンはいるかしら?」
「シルファ……カーソン、ですか?」
フレデリカは翌日、早速フローラと共に魔塔へと足を運んでいた。
魔塔の従業員に取次をするためにはまず受付を通さなければならない。
ニコニコと他所行きの笑顔を貼り付けるフレデリカに対し、受付の女性は怪訝な顔をしている。
「シルファという名前の職員はおりますが、カーソン子爵家との縁者はこの魔塔にはおりません。お引き取りくださいませ」
「はあっ!? なんですって!?」
受付の女性は入口の扉を手で差してフレデリカに帰るように言う。
受付には商会の人間や職員の家族など、毎日多くの人がやってくるため、声を裏返らせて受付の女性に食ってかかるフレデリカに無数の視線が集まった。
「お母様、お姉様に会えないの?」
呑気なフローラは人差し指を唇に当てながら、のほほんとしている。
「い、いいえ。きっと何かの手違いよ。ああ、そうだったわ。あの子は結婚したのだから姓が変わっているのよ。ええっと……なんだったかしら、そう、オルディル。シルファ・オルディルならいるでしょう?」
頬を引き攣らせながら辛うじて笑顔を保つフレデリカであるが、受付の女性はゆっくりと首を左右に振る。
「申し訳ございませんが。一切の面会を拒絶されておりますので、お通しすることはできません」
「どうしてよっ! 仕事のできない女ね!」
「お褒めに預かり光栄でございます」
澄まし顔で淡々と述べる受付の女性は、再び入口の扉へと誘導するように手で指し示す。
「あまりしつこいようでしたら、警備隊を呼びます。大きな騒ぎにしたくはないでしょう? どうかお引き取りください」
あちこちから、こちらを指差しヒソヒソと話す声が聞こえてくる。「あれはカーソン家の?」「最近借金に追われて大変らしいぞ」「あれだけ贅の限りを尽くしていれば致し方あるまい」など、遠慮のない言葉が降り注ぐ。
体裁を気にするフレデリカは醜聞の的にされることに耐えられなかった。
「シルファ……カーソン、ですか?」
フレデリカは翌日、早速フローラと共に魔塔へと足を運んでいた。
魔塔の従業員に取次をするためにはまず受付を通さなければならない。
ニコニコと他所行きの笑顔を貼り付けるフレデリカに対し、受付の女性は怪訝な顔をしている。
「シルファという名前の職員はおりますが、カーソン子爵家との縁者はこの魔塔にはおりません。お引き取りくださいませ」
「はあっ!? なんですって!?」
受付の女性は入口の扉を手で差してフレデリカに帰るように言う。
受付には商会の人間や職員の家族など、毎日多くの人がやってくるため、声を裏返らせて受付の女性に食ってかかるフレデリカに無数の視線が集まった。
「お母様、お姉様に会えないの?」
呑気なフローラは人差し指を唇に当てながら、のほほんとしている。
「い、いいえ。きっと何かの手違いよ。ああ、そうだったわ。あの子は結婚したのだから姓が変わっているのよ。ええっと……なんだったかしら、そう、オルディル。シルファ・オルディルならいるでしょう?」
頬を引き攣らせながら辛うじて笑顔を保つフレデリカであるが、受付の女性はゆっくりと首を左右に振る。
「申し訳ございませんが。一切の面会を拒絶されておりますので、お通しすることはできません」
「どうしてよっ! 仕事のできない女ね!」
「お褒めに預かり光栄でございます」
澄まし顔で淡々と述べる受付の女性は、再び入口の扉へと誘導するように手で指し示す。
「あまりしつこいようでしたら、警備隊を呼びます。大きな騒ぎにしたくはないでしょう? どうかお引き取りください」
あちこちから、こちらを指差しヒソヒソと話す声が聞こえてくる。「あれはカーソン家の?」「最近借金に追われて大変らしいぞ」「あれだけ贅の限りを尽くしていれば致し方あるまい」など、遠慮のない言葉が降り注ぐ。
体裁を気にするフレデリカは醜聞の的にされることに耐えられなかった。