戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
第四章 過去との決別、そして新しい未来へ
季節は巡り、木の葉が茜色に色付く季節となってきた。
シルファとルーカスが契約結婚をしたのが春を迎える前のことなので、すでに半年近くの月日が流れていた。
「最近、メンテナンスの依頼が落ち着いてきましたね」
メンテナンス対象の魔導具を運びながらエリオットが呟いた一言に、確かに、と振り返る。
新規の魔導具開発に注力できるのも、手が空く時間ができたからだ。
少し前までは毎日二十件近くの依頼をこなしていたが、今は一日あたりの対応件数は十件にも満たない。シルファが地下にいた頃の水準に落ち着いてきている。
「まあ、季節がら保冷庫や冷風機といった依頼が多かったからな。暑さが和らいで魔導具の利用頻度も減っているのだろう。本格的な冬を迎えたら、魔導ストーブといった防寒具の依頼が増えるだろう。今は閑散期といったところか」
ペンを走らせていた書類をパサリとデスクに投げると、ルーカスはデスクチェアから飛び降りてシルファの元へと近づいてきた。
「来年の春を迎える前に、開放市が開かれる。どうだ、シルファ。例の羽ペンで出店してみないか?」
「えっ、私がですか!?」
魔塔の開放市は二年に一度、冬の終わりに催される。シルファが魔導ランプと出会った場でもあり、市場に出ない突飛な魔導具に出会えるため、毎回欠かさず訪れている。
魔塔の職員となってからは、主に雑務要因として裏方に徹していたが、まさか自分が出店する機会を得られるなんて思いもしなかった。
シルファとルーカスが契約結婚をしたのが春を迎える前のことなので、すでに半年近くの月日が流れていた。
「最近、メンテナンスの依頼が落ち着いてきましたね」
メンテナンス対象の魔導具を運びながらエリオットが呟いた一言に、確かに、と振り返る。
新規の魔導具開発に注力できるのも、手が空く時間ができたからだ。
少し前までは毎日二十件近くの依頼をこなしていたが、今は一日あたりの対応件数は十件にも満たない。シルファが地下にいた頃の水準に落ち着いてきている。
「まあ、季節がら保冷庫や冷風機といった依頼が多かったからな。暑さが和らいで魔導具の利用頻度も減っているのだろう。本格的な冬を迎えたら、魔導ストーブといった防寒具の依頼が増えるだろう。今は閑散期といったところか」
ペンを走らせていた書類をパサリとデスクに投げると、ルーカスはデスクチェアから飛び降りてシルファの元へと近づいてきた。
「来年の春を迎える前に、開放市が開かれる。どうだ、シルファ。例の羽ペンで出店してみないか?」
「えっ、私がですか!?」
魔塔の開放市は二年に一度、冬の終わりに催される。シルファが魔導ランプと出会った場でもあり、市場に出ない突飛な魔導具に出会えるため、毎回欠かさず訪れている。
魔塔の職員となってからは、主に雑務要因として裏方に徹していたが、まさか自分が出店する機会を得られるなんて思いもしなかった。