戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
「すみません! 見てもいいですか?」
顔を上げると、胡桃色のふわふわとした髪を揺らしながら、キラキラと菫色の瞳を輝かせた少女が立っていた。少し遅れて母親と思しき優しげな女性が追いついてきて、少女の頭を撫でた。
「あら、シルファったら、素敵なお店を見つけたわね。少し拝見いたしますね」
「あ……はい。ご自由に手に取って見てください」
ルーカスはしばし呆けていたが、母親に話しかけられてハッと我に返った。
せっかく訪れた今日初めての客。もしかすると、最後の客になるかもしれない。
ルーカスは内心ドキドキしながら二人の様子を窺った。
シルファと呼ばれた少女は「わあー」「すごーい」「素敵!」と感嘆の声を上げながら陳列された魔導具を手に取っていく。どれもルーカスが大切に作り上げた我が子のような魔導具たちだ。少しでも褒めてもらうことができてよかったとホッと胸を撫で下ろした。
「あっ、お母様! 私、これが欲しいです!」
そう言って少女が手に取ったのは、オルゴール機能が内蔵された魔導ランプだった。
睡眠を妨げない優しい光と、心を安らげる音楽にこだわり抜いた自信作だ。
眠れない夜、底知れぬ闇から掬い上げてくれるような、そんな魔導具を目指して作った。
ランプにオルゴールの機能はいらないと思われるかとも考えたが、ルーカスは眠れぬ夜の恐ろしさを知っている。誰かをそんな恐怖から救い出したいという思いを込めて作成した。優しい音色が持ち主の孤独に寄り添い、穏やかな眠りに誘ってくれるように、と。
顔を上げると、胡桃色のふわふわとした髪を揺らしながら、キラキラと菫色の瞳を輝かせた少女が立っていた。少し遅れて母親と思しき優しげな女性が追いついてきて、少女の頭を撫でた。
「あら、シルファったら、素敵なお店を見つけたわね。少し拝見いたしますね」
「あ……はい。ご自由に手に取って見てください」
ルーカスはしばし呆けていたが、母親に話しかけられてハッと我に返った。
せっかく訪れた今日初めての客。もしかすると、最後の客になるかもしれない。
ルーカスは内心ドキドキしながら二人の様子を窺った。
シルファと呼ばれた少女は「わあー」「すごーい」「素敵!」と感嘆の声を上げながら陳列された魔導具を手に取っていく。どれもルーカスが大切に作り上げた我が子のような魔導具たちだ。少しでも褒めてもらうことができてよかったとホッと胸を撫で下ろした。
「あっ、お母様! 私、これが欲しいです!」
そう言って少女が手に取ったのは、オルゴール機能が内蔵された魔導ランプだった。
睡眠を妨げない優しい光と、心を安らげる音楽にこだわり抜いた自信作だ。
眠れない夜、底知れぬ闇から掬い上げてくれるような、そんな魔導具を目指して作った。
ランプにオルゴールの機能はいらないと思われるかとも考えたが、ルーカスは眠れぬ夜の恐ろしさを知っている。誰かをそんな恐怖から救い出したいという思いを込めて作成した。優しい音色が持ち主の孤独に寄り添い、穏やかな眠りに誘ってくれるように、と。