戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
「たくさんの人が来てくれるといいですね」
ギュッとルーカスの大きな手を握ると、優しく握り返される。
穏やかな黄金色の目に見つめられ、シルファは笑みを深めた。
「一人でも多く、シルファの魔導具を手にして欲しいな」
「ふふ、誰か一人にでもいいので、いいなと思ってもらえると素敵ですね。私のように、運命的な出会いがあるかもしれませんし」
少しおどけて言ってみせると、ルーカスは僅かに唇を尖らせて頬を掻いた。これは彼が照れた時によく見せる仕草だ。
その時、チン、と昇降機が到着を知らせるベルが鳴った。
二人は並んで昇降機に乗り込んだ。
肩に重力が掛かる不思議な感覚には未だに慣れない。
そっと寄り添うと、ルーカスは優しく肩を抱いてくれた。肩を包む手が大きい。
「シルファ、笑わずに聞いてくれ。あの日、俺の未来を明るく照らしてくれたのは、シルファの笑顔だった。君が魔塔にやってきた時、俺を救ってくれたように、俺も君を救いたいと思った。夫婦という形で君を守ろうと考えたが、気がつけば心から愛おしいと思う存在になっていた」
「ルーカス……私も、あの日からずっとあなたに救われてきました。少しでも私の存在があなたの安らぎになるのなら、それ以上に嬉しいことはありません」
グッと肩を抱く手に力が入った。
「シルファ、愛している。これからも俺と共にいてくれるか?」
「はい、もちろんです。私も愛しています」
愛おしげに互いを見つめ合う二人を乗せて、昇降機は魔塔の最上階に向けてグングン上昇していく。
互いの未来を照らし、これからも二人は手を取り歩いていく。
<おしまい>
ギュッとルーカスの大きな手を握ると、優しく握り返される。
穏やかな黄金色の目に見つめられ、シルファは笑みを深めた。
「一人でも多く、シルファの魔導具を手にして欲しいな」
「ふふ、誰か一人にでもいいので、いいなと思ってもらえると素敵ですね。私のように、運命的な出会いがあるかもしれませんし」
少しおどけて言ってみせると、ルーカスは僅かに唇を尖らせて頬を掻いた。これは彼が照れた時によく見せる仕草だ。
その時、チン、と昇降機が到着を知らせるベルが鳴った。
二人は並んで昇降機に乗り込んだ。
肩に重力が掛かる不思議な感覚には未だに慣れない。
そっと寄り添うと、ルーカスは優しく肩を抱いてくれた。肩を包む手が大きい。
「シルファ、笑わずに聞いてくれ。あの日、俺の未来を明るく照らしてくれたのは、シルファの笑顔だった。君が魔塔にやってきた時、俺を救ってくれたように、俺も君を救いたいと思った。夫婦という形で君を守ろうと考えたが、気がつけば心から愛おしいと思う存在になっていた」
「ルーカス……私も、あの日からずっとあなたに救われてきました。少しでも私の存在があなたの安らぎになるのなら、それ以上に嬉しいことはありません」
グッと肩を抱く手に力が入った。
「シルファ、愛している。これからも俺と共にいてくれるか?」
「はい、もちろんです。私も愛しています」
愛おしげに互いを見つめ合う二人を乗せて、昇降機は魔塔の最上階に向けてグングン上昇していく。
互いの未来を照らし、これからも二人は手を取り歩いていく。
<おしまい>