戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
「あ……」
柔らかく細められた黄金色の瞳。その眼差しはどう見ても十歳の少年の眼差しではない。熱を帯び、色気をも孕んだ瞳。どうしてそんな目で見つめるのだろう。
シルファはその瞳に射抜かれたように身動きが取れなかった。
それだけではなく、彼はこれまでのシルファの仕事や振る舞いを見守ってくれていたと言う。
必要のない仕事だと鼻で笑わず、認めてくれている。そのことが無性に嬉しくて、ジワリと胸の奥が暖かくなる。
「さて、とにかく契約成立だ。さっさと婚姻の誓約書を書いてしまおう。あと、契約結婚のルールを決めておこう」
そう言ってルーカスはピッと三本指を立てた。
「相手の嫌がることを無理強いしない。夫婦として心を通わせる努力をする。どちらかが離縁を望んだ場合、相手は必ず了承する、この三つでどうだ」
「え、三つだけですか?」
契約結婚というのだから、分厚い文書を認めるのではと身構えていたシルファは驚いて声が上擦ってしまった。
「ああ、細々とした決まり事は苦手だ。必要に際して都度追加すればいいだろう」
あっけからんと答えるルーカスは、案外大雑把な性格なのかもしれない。煩わしそうにヒラヒラと手を振っている。
「互いに利のある契約結婚とはいえ、シルファは今日から俺の妻だ。先ほどはどちらかが離縁を望んだ場合、と条件をつけたが、俺から君に離縁を持ちかけることはないと思っていい。離縁したところでまた結婚しろとうるさく言われるだけだしな。君が望むのならばその限りではないが……俺は、この先誰でもない、君だけを大切にすると誓おう」
柔らかく細められた黄金色の瞳。その眼差しはどう見ても十歳の少年の眼差しではない。熱を帯び、色気をも孕んだ瞳。どうしてそんな目で見つめるのだろう。
シルファはその瞳に射抜かれたように身動きが取れなかった。
それだけではなく、彼はこれまでのシルファの仕事や振る舞いを見守ってくれていたと言う。
必要のない仕事だと鼻で笑わず、認めてくれている。そのことが無性に嬉しくて、ジワリと胸の奥が暖かくなる。
「さて、とにかく契約成立だ。さっさと婚姻の誓約書を書いてしまおう。あと、契約結婚のルールを決めておこう」
そう言ってルーカスはピッと三本指を立てた。
「相手の嫌がることを無理強いしない。夫婦として心を通わせる努力をする。どちらかが離縁を望んだ場合、相手は必ず了承する、この三つでどうだ」
「え、三つだけですか?」
契約結婚というのだから、分厚い文書を認めるのではと身構えていたシルファは驚いて声が上擦ってしまった。
「ああ、細々とした決まり事は苦手だ。必要に際して都度追加すればいいだろう」
あっけからんと答えるルーカスは、案外大雑把な性格なのかもしれない。煩わしそうにヒラヒラと手を振っている。
「互いに利のある契約結婚とはいえ、シルファは今日から俺の妻だ。先ほどはどちらかが離縁を望んだ場合、と条件をつけたが、俺から君に離縁を持ちかけることはないと思っていい。離縁したところでまた結婚しろとうるさく言われるだけだしな。君が望むのならばその限りではないが……俺は、この先誰でもない、君だけを大切にすると誓おう」