戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
二人並ぶと、平均的な身長のシルファの胸元あたりにルーカスの頭が来る。外見が少年であるが、中身は大人。今日から彼がシルファの旦那様となる。そう思うと、なんとも奇妙な気持ちになる。
「さて、もう夜も遅い。夕飯は食べたか? 後でエリオットに用意させよう……いや、その前にまずは紹介せねばならんな。エリオット」
名前を呼ばれてルーカスの隣に立ったのは、シルファを迎えてくれた銀髪の男性であった。ルーカスとシルファが話している間、気配を殺して壁際にずっと立っていたらしい。
「改めまして、エリオット・ブルストロードと申します。ルーカス様の助手兼お世話係を務めております」
「おい、お世話係はないだろう」
「語弊がありましたか?」
「ぐぬぬ……」
二人の様子から、気心が知れた仲だということは明らかだ。
(信頼し合っているのね)
なんだか微笑ましくて、シルファはようやく肩の力が抜けて笑みを漏らした。
「シルファです。よろしくお願いいたします」
右手を差し出すと、エリオットは表情を変えずに握り返してくれた。無表情で感情の読めない人物だが、きっと誠実な人なのだろう。仲良くやっていけそうな気がする。
「さて、急で悪いが、今日からここで暮らしてもらう。一応は国の重大機密事項を知るものとなったのだ。奥に俺の寝室があるから今日からそこで寝るといい。二人で眠るに困らん広さのベッドがある。俺はまだ仕事があるから一緒に眠ることができないのが残念でならんがな」
「えっ!? そ、そんな……ベッドをお借りするわけには……」
「何を言っている? 君はもう俺の妻なのだ。寝所を共にして何が悪い」
ルーカスはそう言うが、素直にハイそうですねと頷くわけにもいかない。
見た目が少年とはいえ、その実はれっきとした成人男性だ。意識するなという方が無理な話だ。
「さて、もう夜も遅い。夕飯は食べたか? 後でエリオットに用意させよう……いや、その前にまずは紹介せねばならんな。エリオット」
名前を呼ばれてルーカスの隣に立ったのは、シルファを迎えてくれた銀髪の男性であった。ルーカスとシルファが話している間、気配を殺して壁際にずっと立っていたらしい。
「改めまして、エリオット・ブルストロードと申します。ルーカス様の助手兼お世話係を務めております」
「おい、お世話係はないだろう」
「語弊がありましたか?」
「ぐぬぬ……」
二人の様子から、気心が知れた仲だということは明らかだ。
(信頼し合っているのね)
なんだか微笑ましくて、シルファはようやく肩の力が抜けて笑みを漏らした。
「シルファです。よろしくお願いいたします」
右手を差し出すと、エリオットは表情を変えずに握り返してくれた。無表情で感情の読めない人物だが、きっと誠実な人なのだろう。仲良くやっていけそうな気がする。
「さて、急で悪いが、今日からここで暮らしてもらう。一応は国の重大機密事項を知るものとなったのだ。奥に俺の寝室があるから今日からそこで寝るといい。二人で眠るに困らん広さのベッドがある。俺はまだ仕事があるから一緒に眠ることができないのが残念でならんがな」
「えっ!? そ、そんな……ベッドをお借りするわけには……」
「何を言っている? 君はもう俺の妻なのだ。寝所を共にして何が悪い」
ルーカスはそう言うが、素直にハイそうですねと頷くわけにもいかない。
見た目が少年とはいえ、その実はれっきとした成人男性だ。意識するなという方が無理な話だ。