戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
「これだけですか?」
「はい、これだけです」
昇降機を使い、地上に降りたシルファとエリオットは、魔塔に隣接する職員寮に入った。
シルファは、部屋の前でエリオットが待っている間に急いで服や下着、身の回りのものをトランクに詰め込んだ。
元より物が少ない部屋だ。あっという間に荷造りを終えると、トランクとベッドサイドに置かれていた魔導ランプを丁寧に胸に抱いて部屋を出た。
エリオットはあまりの荷物の少なさに、わずかに眉を上げたが、何も問わずにトランクを受け取ってくれた。シルファはランプを両手で抱え、エリオットの一歩後ろを歩く。
「あれ、シルファ? どこに行くの?」
魔塔に戻り、昇降機を待っていると、後ろから聞き慣れた声に呼び止められた。
「サイラス! 帰ったんじゃなかったの?」
「ああ、一度帰ったさ。でも、忘れ物に気づいて取りに来たんだよ」
肩をすくめるサイラスは、よく忘れ物をする。そして週に一度はこうして魔塔まで取りに戻ってくる。
サイラスはシルファと話しながらも、トランクを持つエリオットを訝しげにチラチラ見ている。
そこで、はたとシルファはあることに思い至った。
(待って、私が最上階で仕事をするようになったら……サイラスは一人で仕事をすることになるんじゃない? 人も訪れないような地下の部屋で……)
「はい、これだけです」
昇降機を使い、地上に降りたシルファとエリオットは、魔塔に隣接する職員寮に入った。
シルファは、部屋の前でエリオットが待っている間に急いで服や下着、身の回りのものをトランクに詰め込んだ。
元より物が少ない部屋だ。あっという間に荷造りを終えると、トランクとベッドサイドに置かれていた魔導ランプを丁寧に胸に抱いて部屋を出た。
エリオットはあまりの荷物の少なさに、わずかに眉を上げたが、何も問わずにトランクを受け取ってくれた。シルファはランプを両手で抱え、エリオットの一歩後ろを歩く。
「あれ、シルファ? どこに行くの?」
魔塔に戻り、昇降機を待っていると、後ろから聞き慣れた声に呼び止められた。
「サイラス! 帰ったんじゃなかったの?」
「ああ、一度帰ったさ。でも、忘れ物に気づいて取りに来たんだよ」
肩をすくめるサイラスは、よく忘れ物をする。そして週に一度はこうして魔塔まで取りに戻ってくる。
サイラスはシルファと話しながらも、トランクを持つエリオットを訝しげにチラチラ見ている。
そこで、はたとシルファはあることに思い至った。
(待って、私が最上階で仕事をするようになったら……サイラスは一人で仕事をすることになるんじゃない? 人も訪れないような地下の部屋で……)