戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
 そこまで言って、改めて夢の内容を思い出してボフンと頬が染まる。

 ルーカスはシルファの熱い頬を指先で撫で、不敵に目を細めた。


「ほう。それで、夢の中の俺は何をしていた?」

「えっ!?」


 そうは言われても、口にするのは憚られる内容なので困ってしまう。

 あうあうと顔を真っ赤に染め上げて狼狽していると、ルーカスはシルファの顔を引き寄せて、鼻と鼻をチョン、とくっつけた。


「……夢の中の俺に嫉妬してしまうな」

「〜〜っ」


 頭が茹ってしまいそうなぐらい熱くてクラクラしてきた。

 一方のルーカスは満足げな顔をして起き上がると、グッと伸びをした。どうしてそんなに余裕なのか。こちらはルーカスの予測できない行動にどうしようもなく動揺させられているというのに。


「ん、もうこんな時間か。シルファと眠ると心が安らいでつい寝過ぎてしまうな。もうすぐエリオットが来る。身支度を整えておけ」


 そう言ってルーカスは、密かに不貞腐れるシルファの頭を撫でてから執務室へと向かった。





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