戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
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 フレデリカからの手紙はその後何度も届いた。

 よほど子爵家が困窮していて、後がないのだろう。ついには義妹のフローラからも手紙が届く始末だ。
 お姉様だけ狡い、酷い、とどの口が言うのかと疑いたくなるような稚拙な内容で頭が痛くなる。

 ついには手紙の封を切ることもしなくなった。

 そうして無視し続けていたけれど、堪忍袋の尾が切れたのはルーカスの方だった。ルーカスは子爵家に強火な抗議文を送り、それ以来パッタリと手紙は来なくなった。

 彼女たちが魔塔の最上階にいるシルファと会う術はない。


 だから、安心して日々を過ごせばいいのだろうが、どうもフレデリカが簡単に諦めるとは思えなかった。




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