戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
「君が生みの親だという証だ。俺はいつも自分が製作した魔導具に、太陽のシンボルを刻んでいる。その魔道具が、誰かの生活を明るく照らしてくれるようにと願いを込めてな」


 ルーカスはサラサラッと紙に太陽のシンボルを描いて見せてくれた。丸を中心に、小さな三角が八個、等間隔で並んでいる。

 ルーカスが描いた太陽を見て、シルファの頭には自然とあるマークが思い浮かんでいた。

 羽ペンを握り直し、ルーカスの太陽の隣にゆっくりと描いていく。


「では、私は三日月を。昼間はルーカスの太陽が照らしてくれるので、私は夜を照らす月になります」


 太陽の隣に控えめに並んだ三日月。

 月は自ら光を放つことはできないが、眩い太陽の光を受けて輝くことができる。
 まるでルーカスとシルファの関係のようだ。

 ニコリと微笑んで見せると、ルーカスはグッと少し息を呑み、頬を染めて視線を逸らした。





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