隼翔くんの好きな人

「なんで俺?実行委員は夏也(なつや)だろ」

「その夏也がずっと休んでるんだもん!手伝ってよー!今日中に何やるかだけでも決めなきゃやばいの」

女の子の中心にいるのは佐知(さち)さんだ。

活発で可愛らしくて、学年で一番人気があるって男の子達が騒いでた。

「ねーえー!お願い!!放課後ね!放課後!」

「わ、わか、分かった!分かったって!」

佐知さんが井崎くんの肩をあまりに激しく揺らすから、クラス中で笑いが起きた。

✽✽✽

「お家でできる夏祭り………」

昼休み。

図書館で一冊の本が目にとまった。

的当て。ヨーヨー掬い。型抜き。
家の中で簡単に再現できる夏祭りの屋台がたくさん書いてある。

一年生は基本的に教室でできる飲食店以外の出し物と決まっている。これなら狭い教室でも簡単に出来そうだ。

でも、特に目立った案じゃないから私が言わなくても誰かが提案するだろうし、そもそも私に意見を言う勇気なんてない。  

だけど佐知さん、凄く困った様子だったな。

男子の実行委員が休んでるから進行がだいぶ遅れてるみたい。 
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