上司のくちづけは甘いスイーツのあとで。
(そんな健ちゃんだから、
幼なじみってのが、すごく恥ずかしいっ、)
そう心の中で思っていると。
「はいはい。朝奈はいつまでもガキだなぁ」
健ちゃんのそんな声が聞こえてきて。
どんどん私の方に伸びてくる手。
(ひっ、ま、まさか、
昔みたく撫でようとしてる!?)
そんなの求めてなくって。
ゆっくりと、1歩下がったその時。
「なに。セクハラしてるんですか?前原くん」
頭に、健ちゃんの手が、
乗っかる代わりに聞こえてきた柏葉部長の声。
声が聞こえた瞬間、安心したの、凄く.........っ。
「.........あ、企画部の柏葉部長、オレは別に、」
「言い訳は結構。渡来さん大丈夫?」
「.........ぁ、ぅ、えと、」
心配してくれた柏葉部長の言葉が暖かくて。
でも、嫌なところ、
見られちゃったって思う気持ちが............
──────私の足は部屋を飛び出していた。