過保護な彼はズルくて甘くてやさしくて
 三歳年上の兄の友達、龍平(りゅうへい)くんとは兄以上に仲がいい。
 というよりは、龍平くんが兄よりも私をかわいがってくれるから私が完全に懐いてしまっているとも言う。

 兄の高校時代からの友人として私とも知り合って、もう十年。

 社会人になってからも龍平くんは何かと私の世話を焼いてくれる係だ。
 家族である両親と兄は、私のことは龍平くんに丸投げ……いやいや、もはや家族のように信頼して任せているほど。

 龍平くんは一人っ子だけど私のことを妹みたいにかわいがってくれるし、一緒に過ごせば女の子としての扱いも忘れない。
 そして容姿も内面をもどんどんアップデートされて世に言うイケメンレベルが上がっていくばかりである。

 優しくて理解もあって私のことを知り尽くしているような龍平くんの近くに十年もいると、私は他の男性とは仲良くなっても進展することがなかなかなかった。

 そもそも、龍平くんは龍平くんで過保護がすぎて『紗也(さや)に虫がついたら困る』が口癖なほど私の交友関係では、特に男性枠のジャッジが厳しい。恐らく父よりも厳しい。
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