過保護な彼はズルくて甘くてやさしくて
 いまだに子供っぽい自覚がある私としては、龍平くんに追いつきたいけれど男性経験を積みましょうと、そのためのお付き合いを彼が許してくれるとは思えなかった。

 私がお付き合いや結婚でも考えれば、確実に龍平くんの面接が待っている。
 お相手の第一関門であり、想像しただけで超難関だ。
 もはや両親に会わせるよりもハードルが高い気さえする。

「料理、口に合わない?」
「美味しい……」
「ケーキは?」
「食べる……」
「ふくれっ面に見えるけど?」
「龍平くん。私、結婚したいと思うくらい好きな人がいるって言ったらどうする?」
「は?」

 明らかに龍平くんの声のトーンが変わった。
 ケーキを切るためのナイフを持っている分、怖い。
 
「絶対認めない」

 そして、この即答である。
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