おねだり上手な羽賀くん。


「由羽ちゃん」



ふわり、甘い声で私の名前を紡ぐ羽賀くん。



(〜〜っ、ぅ、ほんと心臓に悪いっ、)



心の中でそう思った瞬間、油断した隙に。



「〜〜っ、ひぇ、羽賀くんが、近いっ、」

「んー、あと10センチ近づきたい」



グイッと距離が近くなって、
気づけば顕微鏡で見ている近さに羽賀くんの顔が迫ってきたっ。



そんな私とは反対に、
これでも、まだ不服な様子の羽賀くん。



これ以上近づいたら、どうなるか?なんて。



羽賀くんに、
片想いしかして来なかった私でも分かる。



羽賀くんのご両親も、
今いないのに、こんなに近いのは、
生徒会長と副会長として規律を乱す気もして......


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