青空
宙を飛んだ風呂敷は、1枚目の金網を跳び越した。

しかし、2枚目の金網は越えられず、その上に当たってバウンドした。


その激しい衝突音を聞き、届かないかと思い亜季は思わず身をすくめる。


しかし風呂敷は、どうにか金網を越えて、力なく座るテツオの目の前の草の上に落ちた。

テツオはその風呂敷を手に取ると、何度か亜季の方を見る。


亜季が頷くのを確認すると、テツオはなれない左手で試行錯誤しながらその封を解いた。


中には、三個のおにぎりと、容器に入った肉じゃがが入っていた。

それらのおいしそうな料理を、愛しそうにテツオは見つめた。


その一つ一つからは、亜季のぬくもりが感じ取れる。

その内面に秘められた、優しさが心に染み渡る。
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