青空
テツオはふと不安になり、右手の切断面に巻かれた包帯をめくり、傷口の確認をして小さく息を吐いた。

傷口の周りは、黒くなってはいない。


「痛むのか?痛み止めを打とうか?」

「いや、大丈夫だ。」

テツオは尾上の問いにそう答えると、慌てて包帯を元に戻した。


爆風により腕が切断された時、北村と尾上の的確な手術によって縫合された。

そのため、一時的な貧血状態を抜かせばほとんど体調に変化はない。


「さすが体力あるな。俺ならとっくに力尽きているよ。」

そう言って笑う尾上にテツオは、手術後一度だけ体力の過信をこっぴどく怒られた。
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