青空
「この体を使って、どんな薬が効果があるか調べてもらうんだ。まだまだ試していない薬が一杯あるみたいなんだ。」

「大丈夫なの?だって、今まで他の人には使わなかった薬でしょう?」

「まあな。ちょっと副作用がある薬は、避けてきたみたいなんだ。髪が抜けるとか、内臓が損傷されるとか、体力を著しく消耗する薬は試せなかったらしい。」

「そんな…。」


テツオは首を振った。


「確実な死よりはましさ。」

そう、この体がどうなろうと、生きてさえいればまた亜季と会える。生きなければどうしようもない。


「今日、尾上にお願いしてみる。」

その決意した目を見ると、亜季は観念したかのように小さく頷いた。


私が逃げてはいけない。

そんなわけない、と言い聞かせたって。


どうしようもないんだ。
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