青空
しかし、昨日の少量の投与ですらその劇薬のあまりの強さに、テツオの肝臓は半分近く壊死している。

そんな状態の彼の体が、この劇薬に耐えられるのであろうか。


「…お、の…うえ…。」

酸素マスク越しに苦しそうにそう呼ぶ友の声に、思わず尾上はベッドサイドに駆け寄った。


「どうした?」

尾上は必死に言葉をつなごうとする友の顔を見つめながら、懸命にそう声をかけた。


「…それ打つと…直るかな…。」

「ああ、きっと直るとも。」

尾上はテツオを楽にしようと、咄嗟にそう言った。


「そうか…。またあの…ホームで…、会えるんだな…。」

「もちろん。亜季ちゃんが待っていてくれるさ。」
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