青空
二日後、大量のケミシトロンと、医師たちが不眠不休で調合した副作用を抑える各種薬剤を積んだヘリコプターが、自衛隊の駐屯地から飛び立った。

その光景を、各種テレビ局はトップニュースとして扱った。


「まるで、面白がっているみたい…。」

野球の実況中継のようにまくし立てるアナウンサーを見て、亜季はそう呟いた。


朝から、ケミシトロンとはどんなものか。

それを人体が摂取した場合どんな副作用があるのか。

それについて送るべき送らないべきと議論するワイドショー。


それを見て、亜季は正直辟易していた。


しかし、現況を知る術は、亜季にはテレビしかなかった。


亜季は吐き気にも似た嫌悪感に耐えながら、番組を見続けるしかなかった。
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